令和5年税制改革大綱で、電子帳簿保存法が改正されました。
大変緩和されるので、フリーランスにとってはとても有利な内容となっています。
インボイス制度と並んで悩んでいる方も多かったのですが、課税売上高が5,000万円以下の事業者はひと安心です。
今回は、2024年開始される電子帳簿保存法の改正内容と今後の対策を解説します。
2024年からの電子帳簿保存とは何か、おさらいしよう
電子帳簿保存法では、3種類の保存が定義されています。
すべてが義務化されたのではなくて、電子保存が義務化されているので注意しましょう。
フリーランスは2年間の猶予期間を経て、2024年から電子取引が義務化されます。
電子帳簿保存の3つの種類
電子帳簿保存法で整理されている保存の種類は次のとおりです。
種類 | 概要 | 義務 |
1.電子帳簿保存 | 電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存 | 任意 |
2.スキャナ保存 | 紙で受領・作成した書類を画像データで保存 | 任意 |
3.電子取引 | 電子的に授受した取引情報をデータで保存 | 義務 |
このうち、3.電子取引ではAmazonなどのECサイトやメールで送られてくる請求書・領収書の電子保存が義務化されます。
この保存要件が厳しく、フリーランスには負担となっていました。
電子取引の保存要件
ただ保存すれば良いのではありません。
フリーランスが、国税庁の定める要件をクリアするのは難しいのが実情です。
電子帳簿保存法で厳しく決められている保存要件は次のとおりです。
保存要件 | 概要 | 対応方法例 |
1.システム概要に関する書類の備え付け | データ作成ソフトのマニュアル等 | |
2.見読可能装置の備え付け | データが確認できるディスプレイ・アプリ等)の備え付け | |
3.検索機能の確保 | ・「取引年月日」 ・「取引金額」 ・「取引先」 で検索できるようにする | 1.検索機能に対応した専用ソフトを使用する 2.ファイル名を「20221031_(株)国税商事_110000」等にしてデータを保存する 3.Excel等で索引簿を作成し、保存したファイルと関係づける |
4.真実性の担保 | 保存した電子データの真実性を担保できるようにする。 | A.タイムスタンプが付与された書類の受け取り B.データに速やかにタイムスタンプを付与する C.データの訂正・削除が記録されるまたは禁止されたシステムでデータを受け取って保存する D.不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備・運用 |
なお、4で紹介した事務処理規程のひな形は国税庁サイトで公開されています。
これを自分に合うように加工しましょう。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
2024年から電子取引の紙保存がOKになった!
今回の改正のポイントは次のとおりです。
- 相当の理由があれば、2024年に間に合わなくてもよい
- 売上高が、5,000万円以下(現行:1,000万円以下)の場合には、紙にも印刷して保存しておけば検索要件が不要
- 誰が保存したかの記録が不要
- スキャナ保存に解像度などの数値情報の保存が不要
なお、相当の理由が何を指すのか不明なので、今後の情報を待つ必要がありますが、高いハードルではないと考えられます。
今回の改正をフリーランスの立場で考えると大きな改善となります。
電子データでの保存は必要ですが、紙に印刷したものを整理しておいて税務調査の際に渡せる状態であればよくなりました。
今後の情報にもよりますが、電子帳簿保存法による帳簿等の保存は大きく緩和されることになりそうです。
TAKAHIRO FUTAKADO
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