【2023年版最新】NFTと税務の基本解説

NFT

NFTの税務上の取扱いは情報が多いものの、解釈の別れることや、最新の情報を見つけるのが見分けるのが難しい場合があります。
また、NFT人口が広がっているとは言え、確定申告となると初心者にはわからないことも多く、不安を感じることもあるでしょう。
今回は、NFTの税務上の取扱いを初心者にもわかりやすく説明します。
取り上げている資料は、2023年1月13日に国税庁から発表された最新情報NFTに関する税務上の取扱について(情報)です。
NFTに興味のある方は知っておいて損のない内容なので、ぜひ最後までお読みください。

所得税・法人税関係

NFTの譲渡や贈与は、デジタルアートを制作した人が、デジタルアートの閲覧に関する権利を取引したと定義されています。

NFTを譲渡した場合(一次流通)

NFT制作者が第三者に譲渡する場合です。
デジタルアートの閲覧に関する権利の譲渡と見なされます。
デジタルアートを制作し、そのデジタルアートを紐付けたNFTを譲渡(贈与)した場合、個人が譲渡する場合は、雑所得(事業所得)が課税されます。
雑所得と事業所得のいずれかに該当するかはここでは触れませんが、2022年末にその区別が300万円問題として話題になりました。

法人が譲渡した場合は、譲渡した法人側は、益金として法人税の課税対象となります。

無償で贈与した場合

無償贈与したのが個人であれば所得税は発生しません。
ただし、譲渡された側には、贈与税が発生します。

また、譲渡したのが法人であれば寄付金となりますが、一定額以上は法人税法の損金に算入されません。

NFTを転売した場合(二次流通)

制作者から得たデジタルアートの閲覧に関する権利を、第三者に転売した場合です。
転売したのが個人で、棚卸し資産のなど譲渡や営利を目的とした継続的な資産の譲渡の場合、事業所得(雑所得)となります。
一方、事業目的ではない場合は、個人の譲渡所得となります。

また、法人が転売した場合は、法人税の課税対象となります。

不正アクセスによりNFTが消失した場合

不正アクセスによりNFTが消失した場合、雑損控除の対象となることが明記されました。
事業用かどうかにによる区分は次のとおりです。

事業用でない雑損控除の対象となる
事業用事業所得(雑所得)計算上の必要経費となる
事業用と非事業用

役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合

請負契約の報酬や給与の一部としてトークンを受け取った場合の考え方について明記されました。
それぞれの契約によって、該当する所得を整理すると次のようになります。

請負契約事業所得(雑所得)
雇用契約給与所得 *日本にはほとんどない
請負契約と雇用契約

雇用者から給与の一部としてトークンを受け取った場合は給与所得となりますが、現状はほとんど無いケースでしょう。

法人が発行するトークンを無償で得た場合

個人が商品を購入する際に、法人が発行するトークンを無償で受け取った合は、法人からの贈与として一時所得が発生します。

ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合

ブロックチェーンゲームの報酬は、雑所得となります。
雑所得の計算は、収入と経費を年末に一括して評価する簡便法で差し支えありません。
ゲーム内で発生する取引ごと個別に評価しなくて良いので、使い勝手の良い制度と言えるでしょう。

相続税・贈与税関係

経済的価値のあるNFTを相続または遺贈した場合、当然、贈与税または相続税の対象となります。
知人から無償でNFTを受け取った場合は、贈与税の対象となる点に注意が必要です。
NFTの評価は、市場取引価格が存在する場合はその価格で差し支えありません。

源泉所得税関係

デジタルアートの制作者からNFTを購入する際に、許諾を受けてSNSアイコンに利用するなどNFTの著作権使用料を支払う場合です。(購入代金に使用料が含まれていると解される場合)
事業を行っていない個人が居住者に対してNFTの著作権の使用料を支払う場合は、所得税を源泉徴収する必要はありません。

消費税関係

事業としてNFTを譲渡し有償でデジタルアーツの利用を許諾する場合、消費税が課税されます。
デジタルアーツの制作者だけではなく、転売者が譲渡する場合も同様です。

ただし、無償での譲渡や国外に住所を有する人への譲渡には、消費税が課税されません。

財産債務調書・国外財産調書関係

一定の富裕層などに義務づけられている財産債務調書には、マーケットプレイスでの取引が国内外に関わらず記載が必要です。国外のマーケットプレイスでNFTを購入したでも、国内の財産債務調書に記載することに注意しましょう。

最後に

今回、国税庁より公表された資料より、NFT取引の基礎的な事項が明らかになりました。
今後も新しい情報があれば紹介していきます。
確定申告や日々の経理の際には、ぜひ参考にしてください。

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TAKAHIRO FUTAKADO

難聴、発達障害の子らと認知症の母と暮らすアラフィフ。石川県在住。 地方公務員歴28年。2022年1月からフリーランスのライター。 執筆分野は不動産、金融、簿記会計など。

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